市川衛は四半世紀あまりのインタラクティブアートの理論と実践の探求の中で、通常はインタラクティブだとは思われていない造形芸術分野にもその考えを適用して造形インタラクティブというコンセプトにたどり着いた。
絵画や彫刻のような従来の芸術形式であっても、鑑賞者が主体的に関与する対話形式を含んだ作品は過去にも多く存在した。特に日本の独特な美意識や伝統的芸術形式は、インタラクティブ・コミュニケーションの宝庫だといっても過言でない。
その意味で、市川衛の造形インタラクティブというコンセプトは高度なデジタル&ネットワーク時代でこそ生まれた美意識であると同時に、日本の美の再発見と継承・発展でもあるといえる。
造形インタラクティブというコンセプトに立ったことで、平面と立体の区別やアクリル画・パステル画・水彩画・水墨画といった画材や技法の違いなど、造形表現の領域をにとらわれることなく、自由な発想の造形表現へと自ずと発展していった。
このサイトでは市川衛の独自の造形インタラクティブの理論とその実践としての造形作品を順次紹介してゆく。