ソタイ画 -ソタイと絵画の融合-

ソタイ画

素体パーツの組み合わせで構成されるソタイ作品の中に、ソタイ画というジャンルのユニークなアイデアの作品群がある。

ソタイ画は、立体のソタイの立体造形と平面の絵画を組み合わせたものである。平面と立体を融合する方法としてはアッサンブラージュやコラージュなどがよく知られている。これらの手法では平面に立体物や既製品などのオブジェを貼ったり接着したりしている。
ソタイ画では立体を平面に固定するのではなく、強力なネオジウム磁石を用いることで立体のソタイのオブジェを張り付けるという方法を採用した。これによって、オブジェのレイアウトが後からでも変更可能になり、鑑賞者が絵画の完成形に関わったり、自分独自の発見を伴う創造が可能な平面作品が実現した。
絵画やアッサンブラージュは最終的に作家によって仕上げられ完成されるというのが疑問の入る余地のない常識であったが、ソタイ画はその概念を覆して鑑賞者が作品創造に関与することが可能なインタラクティブな絵画となりえる画期的なアイデアによって生まれた。このような可変性やインタラクティブ性を意識して考案された平面+立体作品の概念はおそらく皆無であり、世界初の試みになるのだろと思われる。

ソタイ画を完成するプロセスを紹介しよう。まず、ソタイを利用した立体造形を決定する。次にそれを画面にレイアウトするのに適したテーマと背景となる絵画イメージを構想する。絵画イメージが完成したら、所定の大きさの木製パネルボードやシナ板を用意する。ここにホワイトボードなどに利用されている片面が白塗り処理されているトタン板を同じサイズに切り抜いて接着して、磁石が貼りつくことができるキャンバスを完成させる。
トタン板のキャンバスにアクリル絵具が乗るように、メタルプライマーを塗布した後に、適当な色のジェッソを塗り重ねてキャンバスを完成し、通常のアクリル画を描いていく。絵が完成したら表面保護のためにバーニッシュとソリューバーを塗布する。最後にソタイのオブジェにキャンバスにネオジウム磁石を貼り付けていく。

2009年のトキ・アートスペースでの個展では6点のソタイ画を展示した。5点はソタイを作家が決めたレイアウトで展示するが、「DIY」という作品ではレイアウトの完成形を作らず、鑑賞者が自由にソタイをレイアウトして参加できる形の作品とし、積極的なインタラクティブな絵画とした。