十字架のヴィーナス(2008)

種別:造形インタラクティブ・インスタレーション

十字架のヴィーナス

十字架のヴィーナス

「十字架のヴィーナス」は、壁に掛けられたソタイ像の十字架像の部分と、十字架から糸に吊り下げられたマリオネット状のソタイの下半身の2つの部分で構成されるインタラクティブ作品で、人類の愛と性をテーマとしている。

十字架像の部分はボークスのEB-Beauty シリーズの素体から胸前面と脚上部前面と膝下部分を取り外したものを使用した。これに両手を広げるポーズをとらせることにより、キリスト意識や愛を表現するとともに、人間性とロボットの両性具有性や、中性的な女性性のイメージを重ねた。
この十字架像によって、鑑賞者を女性らしい魅力的なイメージで引きつけると同時に、ロボット的な機械性や不具のイメージで人間を一定以上近づけさせない威厳や霊性を表現した。

十字架のマリオネットの素体はエクセレントベースモデル(EB)シリーズの下半身部分を利用して、関節部分を削ることで可動部を柔らかに動くようにした。これを腿の部分を2点で十字架から吊り下げてマリオネットのように動かせるようにした。
鑑賞者が十字架を手にとって左右にゆっくり動かすことで、下半身像は艶めかしい動きでまるで生きているかのように動き出す仕組みとなっている。

十字架を操ることで体験する下半身の動きによって、人間でないのにリアルな性的イメージが喚起されるが、これは自分自身の手が作り出しているものであり、しかも十字架を通してである。目の前の十字架像のイメージとともに、こうしたインタラクティブな仕掛けや演出により得る体験を通して、すべての人間が根源的に有する愛と性の問題に向き合う場が生み出される。

<展示>

2009年 市川衛個展 『SOTAI』 トキ・アートスペース (東京)
2011年 ヲタク展 大阪芸術大学体育館ギャラリー

<展示写真(ヲタク展 2011)>