「火焔太鼓」は、オビツの1/6 (27cm)スケールの女性素体の足を7セット組み合わせたソタイ画である。
下半身のソタイのオブジェを並べたイメージが炎のように見えたことから火焔太鼓を連想して制作した。上部の5つの脚を並べたイメージが太鼓の火焔を、下部の2つのX状にクロスした脚で太鼓を支える台座をイメージした。
5つの脚に取り付けられたオブジェは、ソフトボディの肩から上の首の部分を切断したものである。
背景のアクリル画は火焔部分を赤、台座の上部と下部をそれぞれ緑と青とした。赤は日の丸のような太陽の赤が上に向かって無限に広がるようなイメージを描いた。下部の青は地下から湧き上がる命の水を、中間の緑は水と太陽の双方から育まれて広がる草木の緑のイメージである。水と火は二大元素とも呼ばれ、相克し流転する陰陽の世界を表している。
闇の世界に広がる三色の世界は画面を飛び出す広がりとともに世界の実相を表すが、その形は全体として火焔太鼓の形だけでなく、人形(ひとがた)を形成している。この人の形は通常の人間だけでなく、キリストの磔刑図や神社の鳥居を象徴するものである。
女性性を強く示すソタイのオブジェが背景の世界観と一体となり、全体として豊穣への祈りが捧げられている。また、見方によってはチューリップのような大輪の赤い花のようにも見え、上部の5つの足の塊が雄しべと雌しべのように見て取れるなど、他の見立てが可能である。