Cyber Photography シリーズ(2002〜)

CyberPhotography

Cyber Photography シリーズの概要

CyberPhographyシリーズは、わずか一枚の写真をもとに、簡単な操作で3Dのバーチャル空間の中で立体造形を行い、これ被写体としてバーチャルなカメラで撮影し、撮影結果を印刷物にプリントするWEBプロジェクトである。
この過程で、いったんコンピュータのデジタル空間に取り込まれた現実の写真が、デジタルならではのインタラクティブな創造行為を経て再撮影され、撮影結果が再び印刷物という現実の姿の写真に還元されていくプロセスの体験する。
これによってアナログとデジタル、2Dと3D、リアルとバーチャルといった世界の枠組みを超えた創造の場が、写真メディアを軸として与えられる。

CyberPhotography WEBプロジェクト CyberPhotography WEBプロジェクト

CyberPhotography WEBプロジェクト CyberPhotography WEBプロジェクト

インターネットで展開するWEBプロジェクトの他に、3D対応のゲームコントローラのインターフェースを用いた展覧会形式のインタラクティブ・インスタレーションもある。
プラハでのコンピュータ展示が出来なかった会場では、プロジェクト全体を表現する写真によるインスタレーション展示を行った。

CyberPhograpyのWEBプロジェクトは制作年代が古いため、現在のインターネット環境では動作しなくなっている。近い将来、現在のネット環境で動作するバージョンを復刻をしたいと思っている。

Cyber Photographyプロジェクトの詳細

CyberPhotographyシリーズは、「写真を撮る」という創造行為そのものをテーマとした市川衛によるインタラクティブアート作品である。CyberPhotographyシリーズは展覧会で行われるインスタレーション・バージョンと、WEBで参加できるインターネット・バージョンの2つの形態で展開される。

CyberPhotographyシリーズの特徴のひとつは、鑑賞者が写真というメディアの新たな可能性を、参加する創造行為によって体験的に理解することだろう。このプロジェクトでは、いったんコンピュータのデジタル空間に取り込まれた現実の写真は、デジタルならではのインタラクティブな創造行為を経て再撮影され、撮影結果が再び印刷物という現実の姿の写真に還元されていくというプロセスが展開される。これらの過程で、デジタルとアナログ、あるいはバーチャルとリアルという枠組みを超えた創造の場が鑑賞者に、写真というメディアを軸として与えられる。

CyberPhotographyシリーズの視覚造形の参加プロセスは、具体的には以下の4つのステップで行われる。

  1. 複数の写真メニューから一枚の写真をテクスチャー素材として選択する。
  2. これをもとに、簡単な操作のインターフェースによって、3Dのバーチャル空間の中で立体造形を行う。
  3. 完成したバーチャル空間の造形物を被写体として、バーチャルなカメラで撮影する。デジタル撮影された写真を印刷物としてプリントする。

CyberPhotographyシリーズでは、誰もが創造行為に参加できる場を提供するためのアプリケーションの枠組みを提示し、参加行為がスムーズに行われるために必要な透明なインターフェースを考案している。3Dバーチャル空間内のデジタル立体物を有効に操作するためには、多数のパラメータを同時に変化させる必要があるので、そのためのインターフェースには慎重なで高度なインタラクティブ・デザインが要求される。本作品はVRや3DCGのツールやユーティリティではなく、あくまでもインタラクティブアート作品なので、誰もが参加できる透明性が高くシンプルなインターフェースの構築を目指した。

テクスチャーとして使用する写真は、創造される立体造形が刺激的であり楽しめるように慎重に選んでいる。出来上がる立体造形が創造力を喚起するような興味深いものとなれば、それを写真に撮影するためのカメラワーク自体が芸術的な創造になっていく。鑑賞者自身が主体となって創造を行うインタラクティブアートのエッセンスがここにある。

インスタレーション・バージョンは2002年12月に大阪で開催された『コムシード2002』展で最初に発表された。インスタレーション・バージョンの主要なマン・マシン・インターフェースとして、家庭用ゲーム機のプレステ2用のゲームコントローラーを使用した。3Dコントロールに適したゲームコントローラーを最大限に利用することで、高い透明性のあるマン・マシン・インターフェースを実現した。

WEB上で動作するプロジェクトは、2004年3月にインターネット上のインスタレーションとして発表された 。WEBプロジェクトでは、インスタレーション・バージョンのインターフェースをゲームコントローラーからマウスアクションを中心としたインターフェースに置き換えた。

<展示>

  1. インスタレーション・バージョン:『コムシード2002』展 2002年12月 SUMISO(大阪)
  2. WEBプロジェクトの展示開始:2004年3月
  3. 写真インスタレーションバージョン:VISION in Prague (日本・チェコ現代美術交流展) Galerie Ktitik (プラハ)