Requiem 9.11は2001年の911の事件に対して芸術家として何か出来ないかという思いから2002年に制作したインタラクティブ・インスタレーションで、自身が企画した『commseed 2002』および『プレcommseed 2002展』に出展した。
911の事件のちょうど一年後の2002年9月11日に、私はウィーンから成田に向けた航空機で日本への帰途にあった。飛行機の中で今日は9月11日なのだと気づき、何かかできないかと考え始めたのが、この作品を制作したきっけけであった。
その後に911の真相を知り、間違いだらけの情報に踊らされていたことを認識するに至った時には、この作品への位置づけは複雑なものとなった。911で亡くなったすべての人々(犯人とされた人物も含む)への哀悼を捧げるという意味は大きな間違いはないだろうが、無知だったことの反省に立って将来新たな作品シリーズを立ち上げる必要性を感じている。
この作品では鑑賞者は4X4のパッドを叩くことで、インタラクティブなピアノ音楽を演奏し、それに響くような映像が液晶プロジェクターで全面の投影される。映像ではWTCビルの複数の写真がクロスフェードされ、パッドに反応して現れる犠牲者の顔をイメージした小さなパーティクル映像がオーバラップされる。
インタラクティブ音楽は自身が開発した製品のドレミBOXを利用して、ピアノ音楽をパッドで即興演奏できるようにした。
<展示>
- 『プレcommseed 2002展』 2002年10月 大阪芸術大学
- 『commseed 2002』 2002年12月 SUMISO(大阪)
<展示風景写真>