HyperKeyboardシリーズ(1989〜)

HeyperKeyboardシリーズ

視覚と融合するインタラクティブ即興演奏を体験できる場を提供するインタラクティブ・インスタレーションのシリーズ。

1986年に企画・制作を行った実験的な試みである『インタラクティブアートの世界』の経験を踏まえて、独自のインタラクティブアートのコンセプトに沿う作品を構想して最初にたどり着いた作品がHyperKeyboardシリーズであった。

ピアノの鍵盤を直感的に押すだけで、音楽の知識や楽器演奏能力がなくても誰でもピアノの即興演奏ができ、その音に響くような感覚の動きの視覚情報も同時に生み出されるという、聴覚と視覚を融合した作品がHyperKeyboardシリーズの共通の特徴である。

シリーズが進むにつれて実験と試行錯誤が繰り返され、即興演奏を実現する音楽エンジンは洗練され、音に反応する視覚装置の実験や改良がなされていった。システムの違いの面では5つのバージョンが存在する。

全く同じ装置の組み合わせであっても、各回ごとの場としての違うことから本質的な作品である鑑賞者の体験は異なることを意識して、展示回数ごとに演劇のように第何幕というようなACTのナンバリングで作品を区別した。

HyperKeyboard バージョン1

  • 独自のインタラクティブアートの概念を完全に自覚して制作した最初の作品
  • ピアノフレーズが鍵盤を押すことで進行する初期の音楽エンジン
  • 『マリンフラワー』というLD(レーザーディスク)がMIDIに響くように反応して動く
  • クラゲなどの海洋生物のリアルな映像の動きを伴う音楽が演奏できる

HyperKeyboard ACT1 1989年 ARTEC‘89(名古屋)
HyperKeyboard ACT2 1990年 イマジネーションミュージアム‘90(科学技術館)

HyperKeyboard バージョン2

  • 直感的に誰もが即興演奏できる音楽エンジンに改良した
  • アナログサウンドをビデオ信号に変換するWaveReverb装置を自作
  • インタラクティブ即興演奏+リアルタイムに音に反応する映像装置を実現

HyperKeyboard ACT3 1990年 イマジネーションミュージアム‘90(科学技術館)

HyperKeyboard バージョン3

  • 床置きの8列8個のランプ群をコントロールする視覚装置を製作
  • ピアノ即興演奏の音に応じて自分から光が広がる感覚を目指した
  • ランプによる光の動きを伴うインタラクティブ即興演奏を実現

HyperKeyboard ACT4 1991年 イマジネーションミュージアム‘91(科学技術館)
HyperKeyboard ACT6 1991年 NeXPERIMENT(草月ギャラリー)

HyperKeyboard バージョン4

  • コマ抜き動画の静止画集のLDをMIDIでコントロールする視覚装置を製作
  • 再びLDを用いて音に反応してコマ送りをさせる実験的な試み
  • 映像を演奏する感覚でインタラクティブな即興演奏をする

HyperKeyboard ACT5 1991年 ハイテクアート1991(銀座松屋)

HyperKeyboard バージョン5

  • ウォール状の24列8個のランプ群をコントロール
  • 花火の光や滝が落ちるイメージで光が音に合わせて落下する
  • 裸眼でしか体験できない光の動きを体感しながら行うインタラクティブ即興演奏
  • HyperKeyboardシリーズの最終目標の達成を実感できた最終バージョン

HyperKeyboard ACT7 1992年 コム博インタラクティブアートギャラリー(札幌)
HyperKeyboard ACT8 1994年 IMAGES DU FUTURE 1994(モントリオール・オールドポート)
HyperKeyboard ACT9 1994年 第二回双方向美術展(SAM MUSIUM)
HyperKeyboard ACT10 1995年 第二回双方向美術展(続)(SAM MUSIUM)
HyperKeyboard ACT11 1996年 サイエンス・アート展(茨城県つくば美術館)
HyperKeyboard ACT12 2001年 コムシード2001 大阪芸術大学芸術情報センター1F展示ホール(大阪)