記憶の彩度(2017)

ー人工知能によるモノクロ写真のカラー化体験ー

「記憶の彩度」は『キテ・ミテ中之島2017』のための出展作品として中野圭氏と共同制作したiOS作品で、2017年5月20日〜6月25日2に京阪大江橋駅改札外会場(アイアイ広場)で4台のiPadで展示を行った。

現在人工知能ぼ分野は第3次のブームを迎えている。ディープラーニングという機械学習の手法を用いた応用がさまざまな分野で行われ、大きなビジネスチャンスとして期待されている。

本作品では、人工知能を用いてモノクロ写真をカラー化する技術を利用して、過去の大阪のモノクロ写真や絵葉書をカラー化してどう変換されるかを比較できるiOSアプリケーションを作成して、モノクロ写真のカラー化によって人が受ける印象の変化を体験できるようにした。

カラー写真が普及する以前のモノクロ写真は独特のレトロ感にあふれているが、これたがカラー化されることで記憶の変化がどのように起こるかを体感するのが本作品のテーマである。

記憶の彩度 パネル

モノクロ写真のカラー化技術

本作品では早稲田大学石川研究室の研究成果である人工知能の機械学習の手法であるディープラーニング(深層学習)によってモノクロ写真のカラー化する研究成果を利用している。

早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 情報理工学科 石川研究室
http://hi.cs.waseda.ac.jp/index.php/ja/

過去の大阪の記憶の変容

過去を記録したモノクロ写真はレトロ感があふれる独特な雰囲気があるが、これは過去の記憶のひとつの形であるといえるだろう。それが人工知能の利用によってカラー化されることは、過去の記憶そのものが変容するという現象を生み出すことになる。

新たなテクノロジーによって人間の中にある記憶がどう変容されるのかを実感したいと思いから、元のモノクロ写真をタップするとカラー化された写真になるiOSアプリケーションを作成した。両者を比較することで写真から受ける印象が変化して、自分の記憶がどのように変容するかを体感することができるだろう。

本作品では過去の大阪の記憶をテーマとし、大阪のモノクロの写真と絵葉書を数枚使用した。写真提供は大阪市立中央図書館で、所蔵するデジタルアーカイブからCC-BY(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)表示があるものを使用した。

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