N-E-W-S(2003〜2004)

2003〜2004年の「N-E-W-S」について紹介する。
この作品の企画・制作・プログラミングは市川衛、サウンドデザインは上原和夫による。

「N-E-W-S」(2003〜2004年)のシステム構成

この作品の主なハードウェア構成は4m四方に配置された4つのテレビモニターとスピーカー、サウンドや映像をコントロールするためのスティック、およびMIDI IFを備えた3台のWindowsコンピュータである。この作品のシステムで使用している3Dモーションセンサーは、SensationのVectorCube VC-03という15x30x15mmの小型のデジタル方位計で、傾きやひねり角度も計測でき、通信インターフェースはRS-232C(9600bps)で行う。(当時は8万円ほどする最新のセンサーだった)

VectorCube VC-03

VectorCube VC-03

「N-E-W-S」のシステムは3つのブロックから構成される。

第一のブロックはスティックのコントロール用プログラムである。コンピュータ上のコントロールプログラムは、シリアル通信によってスティック内の3Dモーションセンサーの状態を、デジタル入出力I/Oを通してスイッチの状態を常時検出する。これらの情報をもとにプログラムはLEDのオンオフを行い、サウンドのオンオフのタイミングや音量・ピッチ、スティックの傾きなどの情報をUSB MIDI IF からMIDI信号で出力する。このMIDI信号は第二ブロックと第三ブロックのコンピュータに分配される。

第二ブロックは、第一ブロックで出力されたMIDI信号を受け取ってサウンドを生成するMax/MSP4のプログラムで構成される。このプログラムはMIDI入力信号を解析して、入力信号に応じて、サウンドのスタートやループ再生、フェードアウト、ピッチと音量のコントロールなどを行う。4方向につき7種類ずつ合計28種類のデジタルサウンドがこの作品のためにデザインされた。

第三ブロックは第一ブロックで出力されたMIDI信号を受け取ってイメージを生成するMacromedia Director のプログラムで構成される。Director本体にはMIDI信号を入出力する機能がないので、MIDI信号を入出力できるMIDI Xtra を独自に開発して使用した。このプログラムはMIDI入力信号を解析して、入力信号に応じて、羅針盤の方向や背景色、東西南北のイメージの切り替えなどを行っている。ボタンを押しながらスティックを動かしたときに出現しては消えていく人の顔や花などのイメージ群は、Shockwave 3Dのパーティクル技術で生成されている。

<展示>

2002年に最初の発表をした。
2003年にはスティック・コントローラーとモニターを改良したバージョンを2回発表した。

  1. N-E-W-S (2003) 『Digital Music Festival 2003』 ジーベック・ホール 2003年10月22〜24日
  2. N-E-W-S (2004) 『CCMC 2004』 東京日仏学院1Fロビー(飯田橋)2004年2月10〜22日
  3. N-E-W-S (2004) 『メディアアートフェスティバル2004』 静岡文化芸術大学・ギャラリー

<N-E-W-S (2003) 展示写真集>


<N-E-W-S (2004) 展示写真集>